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機動戦士ガンダムSEED キャラクターMAP


吉良・大和は二度死ぬ 〜キラ・ヤマト、その誇りなき根性

 何をやっても許されるSEED界の神 というのは実際のところ言い過ぎではない。そんな表現が出来るキラ・ヤマトとは一体何者なのだろうか?まず最初に、キラを取り巻く人間模様から観察していきたいと思う。

 最初の舞台となったコロニー「ヘリオポリス」では、キラの他に「サイ・アーガイル」、「ミリアリア・ハウ」、「トール・ケーニヒ」。「カズイ・バスカーク」といった面々がおり、連合のMSが秘密裏に建造されていた事実によりザフト軍が攻めてくる事となった。おりしも現場にいたキラは流れに身を任せるままにストライクパイロットとなる。そこでアークエンジェル(以下AA)のメンバーである「マリュー・ラミアス」、「ナタル・バジルール」、「ムウ・ラ・フラガ」と出会う。


 僕のものは僕のもの、キミのものは僕のもの とは誰かが言った超有名なセリフだが、キラはそれを地で進む。AAで唯一MSを動かせる人物として、キラは重要人物的キャラの地位を確保していく訳だが、そこでキラは「おれはキャプテン」の主人公をはるかに上回る、恐るべき付け上がりっぷりを披露してくれるのだ。
 自分が乗っている船を守るために戦闘することを謎の理由で嫌がったり、外交上、超強力なカードとなりうる人物を逃がしたりと、その場で思いついた身勝手な行動をやりたい放題。その事に関して一応裁判もあったが、殆ど形だけという有様と、AA上層部は殆ど黙認状態であった。まさに無秩序としか言い様の無い状態である。


 キラきゅん、グレる(笑) 13話で、コーディネーターとナチュラルとの壁に悩んでいたキラが唯一心を許せるょぅι゛ょが乗ったシャトルがデュエルによって破壊され、自身は大気圏突入の際のショックで大怪我(っぽいもの)を負う。精神的、肉体的に大きなダメージを負ったキラは、「フレイ・アルスター」という場所に逃げ込む事によって癒す。
 

 劣情>>(越えられない壁)>>友情 実はフレイはサイの許婚という立場であり、キラとフレイの関係を知ったサイは激怒するのだが、所詮ナチュラルとコーディネーターでは血を見るまでも無く決着が付いてしまう。ここで名セリフ「やめてよね」。サイが哀れで仕方が無いんだが。
 ココまで来るともう誰もキラの傍若無人っぷりを止めることは出来ない。キラとフレイが同棲状態になるが、孤立無援でストライクがいないとAAは落ちるという状況でキラの機嫌を損ねることは出来ない上層部は黙認。この時既にキラは軍属になっていたのだが、AAには軍の規律というものが全くないらしい。


 口では理想、手は現実 砂漠で再び出会った「カガリ・ユラ・アスラ」を仲間に加え、砂漠を抜けようとするAAの前に立ちふさがる砂漠の虎こと「アンドリュー・バルドフェルト」。理屈云々は本人紹介のときに回すとして、キラへの説教を行ったのはこの人が初めてではないだろうか。基本的に周りの人間は自分の言いなりであって、自分の行う行動全てが正しいと信じていた矢先の啓発。しかしながら戦争の結果が殲滅戦しかないという意味不明な言葉を残して死んでしまい、結局キラの中を変えたという父親的行動にはならなかった。むしろ犬死。


 その感情は本当に友情なのか? 図に乗るようになった子供をまわりの大人たちが修正し、精神的に大きくするのが今までのガンダムという作品の通例では無かったのだろうか。脚本家のヤオイ的思考を考えると、「オトナ」にさせたくないという思惑があからさまに見え隠れしだしてきたトコロで本命の「アスラン・ザラ」の登場である。
 彼もキラにとって非常に都合のいい人物である。「キラ至上主義」を掲げ、盲目に信仰するそのさまは某国の国民にも劣らない。こうして敵味方の深いところまで信者を持つキラを見ると、世界の中心に立つかのような錯覚に陥ってくる。


 キラは何がしたかったの? W主人公とかいいつつも基本的にキラsideで進む本作品。今回の作品がガンヲタよりも新規ファン向けに作ったという監督の言葉を信じるならば、全てが自分の言いなりになってしまう世界というのは我慢、辛抱といった言葉を非常に嫌う子供を対象にしているのがよく分かる。
 逆に言うならば、キレやすい子供が増えている世の中だからこそ共感を呼び、SEEDが商業的に大ヒットしたのではないだろうか。客観的に見るとキラ・ヤマトの人格は破綻するのも程があるのだから。


 迷いが迷いを呼ぶ無限ループ アスランとの戦いによって重傷を負ったキラはラクスと再び出会い、今、自らがやらなければならない事を悟る。それは、戦争の早期終結の為に自らが剣となり先頭に立つという事であった。不殺の誓いを立てて戦場に再び立つキラだが、結局49話という最後の最後でやっぱり破られることとなった。→


 魔性の女はラクスだった 連合、プラント、どちらにも属さない完全な第三勢力というのは、傍から見れば漁夫の利を狙っているように見え、両軍の立場からしてみれば非常に危険な存在である。
 で、第三勢力になったからといって何か大義があるのかといえば、「人は分かり合える存在である、銃を置いて話し合いましょう」と頓珍漢な事を叫びだすから滑稽だ。既にナチュラルとコーディネーターの間ではそれが出来ないから戦争になったのではないのだろうか。


 キラはラクスの何に同調したんだろうか? ←ホントにコレに限る。ラクスに感化されて、確固たる意思が無いまま自分が正しいんだと思い込んで、覚悟も無く戦場に立つ事によってキラの意思は視聴者に全然伝わらないまま幕を閉じてしまった。まさしく本来の意味での「確信犯」である。最終回のキラVSクルーゼで、(たとえそれが歪んだ意思であっても)曲げられない信念のあるクルーゼに完全に言いくるめられてしまっていたのは製作陣の皮肉なんだろうか。
 一つ穴が見えると、どんどん綻びが目についてくる。旧作ガンダムみたいに多少矛盾が出ても強引に納得させる形で収めればよいものの、SEEDの場合「ナァナァ」で結論を誤魔化しつつ、右に左に揺れながら不時着してしまった感がある。SEED感想のほうにも書いたが、キラがしたかったことの説明と、ラストに辿り付くまでの納得いくストーリー展開がほしかった。

最後に、ラクス様からのお言葉をどうぞ。
 「私たち、ガンヲタは、おそらくは、叩き合わなくてもよかったはずです。なのに失敗してしまったSEED。何のため? 腐女子の為? 何を? 嫁が? 801で? 破綻してしまった脚本、監督。それは何? 何故? そして、駄作を見せ付けられた視聴者。では、製作者たちは? 信念の無い馴れ合いの果ての未来は、幸福? 本当に?
 パロディですが、原文の内容も問うだけで答えが出てないんですよね。